【導入とあらすじ】
--魔帝ロキは、3度目の死を迎えようとしていた。
配下である強力な魔獣たちが、魔帝城が崩壊していく。
闇の王である魔帝を滅す事が出来るのは、英雄の中でも白い魔力を持つ英雄王のみである。
魔帝ロキは、為す術もなく胸を貫かれ、敗れた。
--何故なら、3代目英雄王は純白の長い髪を持つ、うら若き乙女だったからだ。
『フ……そなた、は、美しいな……』
そして、魔帝はまた、長い長い再生の時を迎えるのだ。
666年後、新たな魔帝城と共に復活する為に。
永い眠りに就く度に、また一つ望みが叶えられる。
--貴方は、何を望み、何を願うのか。
その望みは--
魔帝ロキは、満足し深い眠りへと落ちていく・・・。
--不意に、闇と静寂は、赤い魔力と共に切り裂かれた。
石棺は蓋を割られ、光と共に意識が覚醒する。
目が覚めた魔帝ロキを囲むのは、美しい少女が4人。
早くも望みが叶えられた、と歓喜するロキ。
しかし、彼女らは魔帝を滅ぼすためにやってきた『英雄』の末裔だった。
『英雄』--人の身で、生まれながらにして魔力を持ち、強い力を発揮する存在だ。
その中でも、黒い魔力を持つ魔帝に傷をつけられるのは、白い魔力を持つ英雄王ただ一人。
--の、はずだったのだが・・・。
覚醒した魔帝ロキは、不完全な状態で起こされた事で、体が小さく、少年の姿をしていた。
『い、痛い! 痛いぞ!?』
不完全体のロキは、身を守る術もなく捕らえられた上、不死を破る方法を突き付けられる。
最早、滅びを待つのみ・・・。
しかし、魔帝であるロキは諦めない。
『落としてみせるぞ、そなたたち全員を! 心を奪い、余に惚れさせ……手を出させないようにする! フフ、いつも通りのことだったな。フハハハハ!』
そして、しこたまぶん殴られるロキ・・・。
--果たして、魔帝ロキは生き延びることが出来るのか。
【レビュー】
投稿日現在で、1巻が発売されたばかりとなります。
手に取った切っ掛けは、タイトルとあらすじでしょうか。事前情報でやや気になっていた後、書店で改めて見かけて購入へ、という感じです。
もちろん最後の一押しは、ゆらん先生の素晴らしいイラストでした。
最近は、異世界モノや、似た傾向の作品ばかりが続いていたので、ノリの軽そうな作品が欲しくなっていた、というのもあります(笑)
本作の魅力は、やはり主人公含む魅力的なキャラクターとラブコメ要素ですね。
個人的に好きなコメディ寄りな印象で、キャラクターもどんどん出てきますし、人間関係・対立関係も様々。翻弄される主人公が面白いです。
女性キャラが魅力的なのは勿論ですが、真に愛すべきは主人公でしょう(笑)
彼も、抱えているものが様々ありそうで、興味深いです。
元々は、強大な力と美しい容貌を兼ね備えていた彼ですが、恐らく、見た目だけでなく女性が惹かれる何かを持っていたように匂わせる描写があります。彼の力と精神性から、かもしれませんが。
当然、作中では力も無く、見た目も少年であり、特別魅了する力は無くなっているようです。
ロキくんは、これまで女性の方から自然と惚れられており、自分から口説いた経験が無い為、結構冷たくあしらわれます(笑)
しかし彼は、所謂「よくある魔王」とは違う様で、彼が元々持つ理念を決して曲げず、彼なりの方法で足掻いていく事になります。
対して、女性キャラクターを選べと言われると、これが非常に難しいです。
個人的には、ツバキ、アイリス、ローズ……クッ、選べない(笑)
因みに、ひびき遊先生は「ガールズ&パンツァー」や「千年戦争アイギス」のノベライズも手掛けられてます。
後から気付いた事ですが、たまたま私はアイギスの方を持っており、益々ファンになりました。
第2巻が読める日を、楽しみに待とうと思います。おすすめ。