【レビュー】灰と幻想のグリムガル(オーバーラップ文庫)

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灰と幻想のグリムガル level.1 ささやき、詠唱、祈り、目覚めよ (オーバーラップ文庫)
著者:十文字青
絵師:白井鋭利

【導入とあらすじ】

グリムガル壁紙01『目覚めよ』

という不思議な声に目を開ける主人公の少年ハルヒロ。

真っ暗な空間に僅かな明かりと、複数の人の気配。どうやら近い年代の少年少女が計12人。

動揺する彼らは出口を目指すが、徐々に自分達が『何故ここにいるのか』 『何処から来たのか』 『以前の記憶が殆ど無い事』に気付き始める。

状況が飲み込めないまま、どうやら中世風の世界である事。自分達は身元不明の異邦人であり、生きていく為には軍に協力し、敵対種族やモンスターと戦う『義勇兵』として生計を立てるしかない事を知る。

決断力と腕っぷしの良さそうな面々が早々にメンバーを引き連れて出ていく。その傍ら、ハルヒロを含む迷いを抱え、中々動けない余った4人は仕方なく情報収集へ。

後に、それぞれ同期である、賢く頼れるマナト、体は大きいがおっとりしていて頼りないモグゾーを加え6人で生きる為、金を稼ぐことに・・・。

迷いを抱える上に無力なパーティは、マナトに「おんぶに抱っこ」で何とか体裁を整えるが、ゴブリン一匹にも悪戦苦闘。刃を突き立て、生き物を殺める事に震え上がる始末。

そして、日々を重ね徐々に慣れを感じ始めた頃、早々に厳しい現実と絶望を味わうことに・・・。

特別な力の無いハルヒロとパーティメンバー達は、悩み、苦しみながらも少しずつ成長していく。しかし、才能のある周囲には到底及ぶはずもなく、義勇兵団の最底辺から泥臭く這い上がっていく。

自分達が「何処か」から来たであろう疑問を漠然と抱えながら・・・。

 

PCM

【レビュー】

投稿日現在で8巻まで刊行されています。

また、同じ世界、近い時間軸で展開する作品「大英雄が無職で何が悪い」が3巻まで刊行。時間的には「大英雄~」の方がハルヒロ達がグリムガルへ来る少し前から始まります。(恐らく半年とか1年前位と思われる) こちらも合わせて読むと、世界観を違った角度から見る事が出来て面白いです。

まず最初に頭に浮かんだのは、「Wizardry」ですね。1巻のサブタイトルでニヤリとした人は多いんじゃないでしょうか?私は小さい頃に「Wizardry Ⅴ」にハマった世代だったりします。この物語も、死を身近に感じる緊張感が常にあり、戦闘の描写にいつもハラハラさせられます。

本作のポイントは、「一般的な現代っ子が剣と魔法の世界で突然生きる事になったらどうなるか」というのが一番でしょう。少なくともチームハルヒロの面々は全員一般人です(笑) むしろ、人一倍優しい平和主義者。

相手は殆ど人間ではありませんが、血の通った生き物であり、種族の違いはあれど、知恵と文明を築いて生活しています。刃を突き立てれば血を流し、悲鳴を上げ、生きる為に必死に抗います。戸惑うのも無理はありませんね。

もう一つのポイントは、作品の中心となるハルヒロの苦悩ですね。心理描写がとても素晴らしい。思春期の若者らしく、常に情けないくらいに思い悩みます。絶望を乗り越え、パーティを引っ張っていかなければならない事への不安。特に、序盤を越えて現れる、本人ですら無意識に否定し、直視しないようにする苦い恋心なんかは、とても共感します(苦笑)

やはり、少しずつ少しずつ成長を重ねていく姿を見るのはとても楽しく、嬉しく感じられる良い作品だと思います。どこまでいっても未熟で不完全な所がとても良いです(笑)

アニメ化もされ、クオリティも素晴らしいので、まだ見てない方はぜひ観てほしいです。もちろん、評価は賛否両論ありましたが、この作品は描写が生々しく、万人受けする内容ではないにも拘わらず好評だった事からも、アニメスタッフさんの力を感じました。

特に、各声優さんのセリフ回しがとても自然で、アニメというより演劇を見ているような掛け合いで、キャラクターとの一体感を感じました。どうやら、セリフ間の呼吸を大切にし、声に合わせて絵や尺の方を調整したりしたんだそうです。

また、欠かす事の出来ないポイントは、劇中の音楽を手掛けた「(K)NoW_NAME」さんでしょう。作中で流れる音楽は、シーンにつき1曲。同じ曲は他で一切使われない為、思い入れのある人が聴くと、シーンが思い浮かんできます。躍動感のある曲、哀愁の漂う曲、心安らぐ曲等、作品の演出に噛み合っていて、とても素晴らしいです。

昔、TVでやってた懐かしアニメ特集なんかで言ってましたが、「オープニング曲を聴いただけで泣き出してしまう」人がいるみたいですが、ホントにそんな感じになります(笑)

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