【レビュー】ワールド・ティーチャー 異世界式教育エージェント(オーバーラップ文庫)

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ワールド・ティーチャー 異世界式教育エージェント 1 (オーバーラップ文庫)
著者:ネコ光一
絵師:Nardack

【導入とあらすじ】

ワールドティーチャー01--ある男の、人生の終わりから物語が始まる。

男は、かつて裏社会で最強と謳われたエージェントだった。

元々戦争孤児で、紛争地帯を飛び回る傭兵である養父に育てられた。養父は愛情表現の出来ない不器用な男で、代わりに厳しい訓練を幼少の頃から受ける事になった。

変わり者の父は訓練に独自の理論を持っており、本人の希望もあった事でメキメキと力をつけていく。

後に、友となる男と出会い、傭兵から対犯罪組織を生業とするエージェントとなる。

男は、それから数十年戦場で生き延び、いつしか最強などと評価されるようになっていたが、かつての養父と同じように幼子を拾った。

娘からの強い希望と、年齢が五十歳を超えていた事もあり、後進の教育の為に引退を決意する。

教育者として、苦労以上に喜びを感じるようになってから十年程経った頃、組織内の陰謀により人生最後の任務に挑む事になった。

元々、死を覚悟していた。任務は果たしたが、帰還が難しい程の重症を負った。死を目前に、立派に育った弟子達を、友に託して男は命を落とした・・・。

--そこから六十過ぎの男は未知の体験をする。

喋れない。よく見えない。誰かいるようだが、何と言っているのか分からない。

老成した男も流石に動揺していたが、時間が経つと状況を把握し愕然とする。体を動かせないのは、どうやら転生して、乳児となっていた為のようだ。前世の記憶を、残したまま・・・。

--男は「シリウス」という名で呼ばれていた。何の因果か、新しい人生でも、父も母もいなかった。

しかし、育ててくれた家は温かかった。男は初めて母の愛を知った。血の繋がりはなくとも、姉を、兄を知った。

残念ながら、そこは地球ではなかったが、科学に代わり、魔法をベースに生活を営んでいるようだった。

そして、かつての養父の理論に自身のアレンジを加えて、幼い頃からトレーニングを始めるシリウス。いくつか障害はあったものの、異常な成長を見せ、この世界ならではの新しい可能性を見出す。

月日が経ち、少年となったシリウスは、前世で志半ばで終わった『教育者』となる事を決意する。

--誰にも縛られず、真っ直ぐ生きてほしいわ。

母から貰った大切な言葉を胸に、世界の常識を超えていく。

前世で培った知識と精神に加え、新たに手にした力は成長を続ける。教育者として、弟子に恥じないよう、共に修練は続く・・・。

『失うものがないなら、俺についてこい。この世界での生き方を教えてやる』

 

PCM

 

【レビュー】

投稿日現在で3巻まで刊行されています。

作品との出会いは、やはり近所の書店です。この作品も実は、初めて見かけてから購入まで、結構間がありました。何故かというと、それほど理由があるわけではなく、読んでた作品が異世界モノが連続していたからというだけです。ちなみに、第2回オーバーラップWEB小説大賞”金賞”受賞作との事。

この作品も、良い意味で単純な異世界モノと違う印象を与えてくれました。

作品の一番のポイントは、シリウスを含む各登場人物の絆でしょうか。読んでいて、終始心が温かくなります。

他には、お約束の前世の趣味を取り入れて異世界であれこれっていうのと、主人公の精神は六十過ぎで、老成しているのに、体が若い事で戸惑ったり、なんていう変わった所も魅力です。絵師さんも素晴らしい。

とはいえ、前世でのシリウスも、非日常で生きた人間なので、新鮮に感じる場面が多かったんだろうか、とか考えたりします。

なにより、一巻目で度肝を抜かれました。もう、枯れる程泣きました。何回読んでも泣いてしまう(笑)

何処かの作品紹介で、著者のコメントにありましたが、本当に「エリナの愛」が詰まった一冊でした。憎い程に持っていかれましたね。

もちろん、一巻目ですからこれは導入部に当たります。本編に向けて続いていく訳ですが、やはり終始人間関係が温かく、人間味に富んでいるのが好きなポイントです。

一歩引いて見ると、異世界モノで、主人公がぶっちぎっちゃう系の物語ですが、読んでみると全然印象が違っていたのが面白かったです。

読んでいて幸せな気持ちになる、良い作品だと思います。

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